鰻の割き 

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鰻の割き


職人が何げなく手に持つ鰻。暴れさせずに掴む、それさえも素人には出来ないと言います。鰻の割(さ)きには、関東の背開きと関西の腹開きがあります。武家の文化が栄えた関東では、切腹を意味する腹開きを嫌い、背開きが拡がったと言われています。鰻の体の構造に合わせ独特な角度の付いた関東風背開き用の包丁を巧みに使い、鰻が割かれたことさえ気付かぬ間に一気に割きます。
目打ちからはじまり、その間わずか15秒、職人の技です。
関東風背開き用の包丁




真夜中3時から、うなぎ職人の仕事ははじまります。最盛期の夏場は1人で1000匹以上の鰻を4~5時間ただもくもくと割いていきます。浜名湖の脂がのった鰻。70kgほど割くと、鰻の脂によって、どんなに研ぎすまされた包丁も切れなくなってしまいます。その都度丁寧に包丁を研ぎ、常に最高の切れ味を保ち、手の温度が伝わらないうちに、次から次へと仕上げていきます。 うなぎ職人の仕事




割きが終わった鰻は、そのまますぐに焼き工程に入ります。
脂が落ちないように、最初は強火で表面はこんがりと焼きながら、炭火に近い遠赤外線で芯までじんわり焼き上げます。ひっくり返しながら3度、じっくり火を通し、ふっくら美味しく仕上げます。焼きが進むと共に、脂ののった鰻のいい香りが作業場全体に拡がっていきます。この工程で白焼きが出来上がります。
鰻の焼き工程




鰻の白焼き
ふっくら仕上がった白焼き。しかし鰻と言ったら忘れてはいけないのが、こんがりタレを付け焼きした風味豊かな蒲焼きです。長年試行錯誤を繰り返し、やっと辿り着いた特製のタレを使います。ここからは蒲焼き工程となります。
まず、タレがしっかり染み込んで柔らかく仕上げるために、「蒸し」をいれます。 蒸された鰻はすぐさまタレに豪快につけ込み下味をつけます。
鰻の蒲焼き

タレののった鰻は絶妙な火加減で焼かれ、付け焼きを何度かじんわり繰り返し、あの食欲をそそる赤褐色のテリと味に仕上げます。
 
 
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